被写界深度と過焦点距離
この計算機は、単純化した薄レンズモデルを使い、選択した 許容できる鮮明さ の基準を満たす被写体距離の範囲を推定します。入力は焦点距離、絞りのF値、撮影距離、錯乱円直径です。結果は撮影計画のための推定であり、特定のレンズ、センサー、プリント、閲覧者を実測した値ではありません。
センサー形式を選ぶと、一般的に使われる錯乱円の値が設定されます。「カスタム」を選んだ場合はミリメートル単位の入力値を使います。センサー形式は、この許容基準を通じてのみ計算に影響し、光学特性を独立に変化させる入力ではありません。
算出方法と計算式
内部計算では、すべての距離を最初にミリメートルへ換算します。焦点距離を f、F値を N、錯乱円を c、撮影距離を s とすると、過焦点距離は次式です。
H = f² ÷ (N × c) + f
許容焦点範囲の近点は次式で求めます。
Dnear = H × s ÷ (H + s − f)
H − s + f が正の場合、遠点は次式です。
Dfar = H × s ÷ (H − s + f)
この分母がゼロ以下になる場合、遠点と被写界深度は無限大として表示します。それ以外の場合、総被写界深度は Dfar − Dnear です。
計算例
焦点距離 50 mm、絞り f/2.8、撮影距離 2 m、錯乱円 0.03 mm とします。計算される過焦点距離は 29.81 m です。
近点は 1.88 m、遠点は 2.14 m、総被写界深度は丸め後で約 0.26 m です。これらの境界を少し越えた瞬間に、完全に鮮明な像から使用不能なぼけへ急変するわけではありません。境界は選択したぼけの許容基準によって決まります。
結果の意味
近点と遠点は、モデル上の焦点外ぼけが選択した錯乱円直径に達する位置です。錯乱円を小さくすると基準が厳しくなり、一般に表示範囲は狭くなります。絞りを絞る、または撮影距離を長くすると通常は範囲が広がりますが、モデルの制約や回折との兼ね合いがあります。
過焦点距離は、選択した f、N、c で遠点が無限大になる撮影距離です。その半分付近から遠景までの細部が、あらゆる出力で同じように鮮明になることを保証する値ではありません。
光学上・実用上の限界
- 錯乱円は閲覧方法と出力条件に関する仮定であり、センサー固有の定数ではありません。プリント寸法、視距離、視力、解像度、シャープ処理、表現上の基準によって適切な値は変わります。
- 薄レンズ式は、瞳倍率、フォーカスブリージング、像面湾曲、収差、回折、手ぶれ、被写体ぶれ、メーカーの距離目盛誤差を考慮しません。
- マクロや近接撮影では、倍率を含む式が必要になる場合があります。このツールは撮影距離が入力焦点距離以下の場合を拒否しますが、マクロ専用計算機ではありません。
- 重要な焦点は、実際のカメラ、レンズ、出力寸法、予定する閲覧条件で確認してください。
出典
- ZEISS Lenspire, Depth of Field and Manual Focusing — 許容できる鮮明さ、被写界深度、過焦点撮影の光学的説明。
- Nikon Learn & Explore, Understanding Depth of Field — 絞り、焦点距離、撮影距離がもたらす実用的な影響。
編集記録
- 執筆: SoupCalc 編集チーム
- 方法レビュー: SoupCalc 光学・工学レビュー
- 最終確認日: 2026年8月11日
- 確認範囲: 単位の整合、薄レンズ式、無限遠処理、錯乱円の仮定、計算例の再現