除脂肪体重とは
除脂肪体重とは、体内の貯蔵脂肪以外のすべての重量です。骨格筋、骨、臓器、皮膚、血液、体内水分が含まれます。筋肉量と同じではなく、無脂肪量とも厳密には一致しません。一般的な推定式で算出される除脂肪体重には、体が機能するために必要な少量の必須脂肪が通常含まれています。
除脂肪体重の推移は、体重変化の内訳を考える手掛かりになります。減量中なら、脂肪だけでなく除脂肪組織も減っていないかを確認する材料になります。増量中なら、同じ条件で繰り返した推定値を体重などの指標と併せて比較できます。ただし、単独の推定値から健康状態や筋肉量を診断することはできません。
Boer式の仕組み
この計算機は、Piet Boerが1984年に発表したBoer式を使用して除脂肪体重を推定します。体重(キログラム)、身長(センチメートル)、式の選択に用いる性別という3つの入力から、除脂肪体重の推定値をキログラムで算出します。
計算式は以下の通りです。
男性用: 0.407 × 体重 (kg) + 0.267 × 身長 (cm) − 19.2
女性用: 0.252 × 体重 (kg) + 0.473 × 身長 (cm) − 48.3
Boer式は、皮下脂肪キャリパー、生体電気インピーダンス装置、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)を使わずに適用できます。体組成を推定する人体計測式にはHume式、James式、Peters式などもあり、同じ人でも式によって結果は異なります。すべての人に対して常に最も正確な単一の式があるわけではありません。
入力値の制限事項
この計算機は、体重と身長の両方に正の値を必要とします。計算結果がゼロ以下、または入力された総体重を超える場合、結果は表示されません。そのような値は、入力がBoer式を実用的に適用できる範囲から外れていることを示します。
この式は、比較的典型的な体組成を持つ成人のデータを基に開発されました。極端に身長が高い・低い人、高齢者、小児や青年、妊娠中または授乳中の人、高度に訓練された競技者などでは、誤差が大きくなる可能性があります。これらに該当する場合や体組成について心配がある場合は、推定値だけで判断せず、資格を持つ医療専門家に相談してください。
計算例
体重70 kg、身長175 cmの男性を例に、男性用Boer式へ値を代入します。
除脂肪体重 = (0.407 × 70) + (0.267 × 175) − 19.2
- 0.407 × 70 = 28.49
- 0.267 × 175 = 46.725
- 28.49 + 46.725 = 75.215
- 75.215 − 19.2 = 56.015
推定除脂肪体重は約 56.02 kg です。総体重70 kgとの差は推定脂肪量約13.98 kgで、単純計算では体脂肪率約20%に相当します。ただし、これはBoer式から派生した推定であり、直接測定した体脂肪率ではありません。
同じ人でも、異なる推定式を用いると除脂肪体重が1~2 kg以上異なる場合があります。これは式の母集団や係数が異なるためで、差があるだけで一方が必ず誤りとは限りません。
推定値の解釈方法
本計算機が算出する数値は体組成の推定値であり、直接測定値ではありません。集団データから作られた式による近似値として扱ってください。推定除脂肪体重と総体重を比較すると体組成の概略を考えられますが、その値だけで疾病、栄養状態、運動能力を判断することはできません。
同じ式と一貫した測定条件を用いて、数週間から数か月にわたる変化を追跡する方が、単独の数値だけを見るより有用な場合があります。測定する時刻、衣服、水分状態などの条件もできるだけ揃えてください。
この推定値は診断、医療助言、治療の推奨ではありません。投薬量の決定、手術計画、その他の臨床判断には使用できません。体組成、体重、代謝の健康について懸念がある場合は、医師や管理栄養士に相談してください。
精度と限界
Boer式は体内総水分量の測定値を用いた研究から導出されましたが、すべての人体計測式には限界があります。この式は、身長、体重、除脂肪体重の関係が個人間でおおむね一定であると仮定します。実際には、その関係は年齢、集団、フィットネスレベル、体型によって変わります。
原著研究で報告された集団における精度が、現在このページを利用するすべての人にそのまま当てはまるとは限りません。入力値が正しくても、個人の直接測定値との差が数kg以上になる可能性があります。小数点以下の細かな表示は計算精度を示すだけで、生理学的な測定精度を保証しません。
正確な体組成評価が健康管理や競技上必要な場合は、資格を持つ専門家に相談し、DXA、空気置換法、水中体重測定など適切な方法を検討してください。
体組成に影響を与えるその他の要因
除脂肪体重は体重と身長以外の要因にも影響を受けます。加齢、ホルモンの変化、慢性疾患、薬剤、長期間の不活動は除脂肪組織に影響する可能性があります。レジスタンストレーニング、栄養、睡眠なども関連します。
Boer式はこれらの要因を入力として扱いません。同じ性別用の式を使い、体重と身長が同じ2人には、生活習慣や競技歴が異なっても同じ推定値が返ります。この推定値は体組成を考える出発点として使い、確定的な健康評価として使わないでください。
情報源
- Boer P. Estimated lean body mass as an index for normalization of body fluid volumes in humans. American Journal of Physiology. 1984;247(4):F632–F636. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6496691/
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Staying Active at Any Size. https://www.niddk.nih.gov/health-information/weight-management/staying-active-at-any-size
編集記録
本記事はSoupCalc編集チームが、査読済みの人体計測研究と米国国立衛生研究所系機関の一般向け情報を基に作成しました。Boer式と係数は1984年の原著論文と照合し、計算例は独立して再計算しています。日本語版では英語原稿と数式、数値、出典を照合しました。臨床医による個別レビューは主張していません。
著者:SoupCalc編集チーム 最終確認日:2026年8月11日